欧米の獣医学・動物栄養学では、犬の食事を新鮮なフレッシュペットフードに切り替えることは、健康、ウェルネス、寿命に改善をもたらすされる研究論文は多く発表されています。
この記事ではその一部を紹介します。
多くの市販のドッグフードは「栄養豊富」や「自然派」といったラベルを掲げていますが、これらの表現は誤解を招く可能性があります。『The Whole Pet Diet』の著者であるアンディ・ブラウン氏は、「『ホリスティック』や『オールナチュラル』とラベルに書かれていても、それが他のフードより優れているとは限らない」と指摘しています。
人間と同様に、犬も食べるもので健康が左右されます。多くの市販のドッグフードは不健康な成分が含まれており、ファストフードに例えられることもあります。ブラウン氏は、「毎日ファストフードを食べれば健康を害するのと同じで、商業的な食事を与えられた犬も健康を損なう」と述べています。
また、獣医師が処方するドッグフードも例外ではありません。手術後などには有益かもしれませんが、成分表をよく見ると、長期的な給餌には適さないことがわかります。高価なドッグフードが必ずしも高品質であるとは限らないのです。
結局のところ、重要なのはフードの中身であり、犬のフードラベルを読み解くことを学ぶ必要があります。
カリフォルニア大学デービス校の研究者たちは、自家製の犬の食事の95%が犬の栄養ニーズを満たしていないことを発見しました。犬には、肉と野菜をバランスよく含み、適切な微量栄養素(ビタミンやミネラル)を含み、副産物やフィラー、防腐剤、人工化学物質を含まないバランスの取れた食事が必要です。
このバランスを自家製の食事で実現するのは不可能ではありませんが、非常に難しいのが現実です。
そこで手作りドッグフードやフレッシュペットフードというカテゴリの、自家製の食事を模倣しつつ、犬の健康と幸福を保つためにバランスの取れた食事が流行しているのです。
新鮮なドッグフードは、獣医学的な研究と専門知識に裏打ちされた多くの利点があります。以下に、その主な効果と関連する研究を示します。
新鮮なフードには、自然由来の抗酸化物質や高品質なたんぱく質が豊富に含まれており、慢性疾患やがんの発症リスクを抑える効果が期待されています。
特に注目すべきは、週に3回以上野菜を食べたスコティッシュ・テリアが、膀胱がん(TCC)の発症リスクを大幅に低下させたという研究です。これは食物に含まれる植物性栄養素(ファイトケミカル)が発がん抑制に関与していることを示唆しています。
多くの市販フードには、トウモロコシや小麦などの高糖質・高デンプンのフィラーが含まれており、過体重や肥満の原因となることがあります。
一方、新鮮な手作り食では必要な栄養素のみを摂取できるように設計されており、無駄なカロリー摂取を避けることができます。運動と併せた食事管理は、犬の理想的な体型と活動性を維持する上で極めて重要です。
新鮮なフードを日常的に摂取している犬は、そうでない犬に比べて最大で2.5年も長生きするというデータがあります。
この差は、人工添加物・保存料・過剰な糖質や脂質が排除されることによる内臓への負担軽減や、慢性疾患の発症リスク減少と関連しています。
長生き=健康寿命の延伸という観点からも、新鮮な食事の重要性は非常に高いと言えます。
犬の祖先である野生動物は、草食動物の胃腸の内容物(植物繊維)を自然に摂取していました。
現代の新鮮フードでも、バランスよく野菜を取り入れることで腸内環境を整え、善玉菌の繁殖をサポートします。
腸内フローラが改善されると、免疫力や精神状態にも良い影響を与えることが分かっています。
Doggy Grubの顧客からは、「便が固くなった・臭いが減った・ガスが減った」などの報告が多く寄せられています。
この変化は、過剰なデンプンや消化しづらい添加物が排除されたことで、腸内発酵のバランスが改善されたためと考えられます。
便の状態は消化器の健康のバロメーターでもあるため、新鮮な食事は毎日の快適さにも直結します。
新鮮な食事は消化がスムーズで、胃腸に負担をかけにくいため、夜間の覚醒が減り、より深い睡眠が可能になります。
これは消化にエネルギーを使いすぎないことや、血糖値の安定化とも関係しています。
睡眠は回復力・免疫力にも直結するため、結果として日中の活動性にも影響を与えます。
加齢に伴い犬にも認知機能の低下(犬版認知症)が起こる可能性があります。
ある研究では、抗酸化物質を豊富に含む食事を与えられた老犬は、記憶力・学習能力・警戒心が維持されやすいという結果が得られました。
特にシニア犬には、脳機能を守る食事が極めて重要です。
新鮮な肉や魚、植物油に含まれるオメガ3脂肪酸、ビタミンE、亜鉛などは、皮膚の炎症を抑え、乾燥やかゆみを軽減します。
それにより、毛並みにツヤが戻り、皮膚のバリア機能が強化されます。
実際に、フケ・脱毛・ひっかき行動が減少したという体験談も多数あります。
運動後の筋肉回復には、良質なたんぱく質と抗炎症性栄養素(オメガ3など)が必要です。
新鮮な食事はそれらを効率的に提供できるため、より活動的な生活や遊びを楽しむ体作りに貢献します。
スポーツドッグやシニア犬にも特に恩恵があります。
好き嫌いが激しい犬でも、香り・食感・自然なうま味が感じられる新鮮な食事には強く反応する傾向があります。
嗅覚と味覚を大切にする犬にとって、「美味しい」と感じることは食欲と栄養摂取の継続に直結します。